合祀とは?合葬とは?その埋葬方法と費用
合祀・合葬とは、どのような埋葬方法なのか?
亡くなった方のご遺骨を埋葬する方法に、合祀(ごうし)または合葬(がっそう)というものがあります。
読んで字のごとく、合祀は「合わせて祀る(まつる)」という意味で、合葬は「合わせて埋葬する」という意味の言葉です。
どちらも同じく、骨壺から焼骨を取り出し、他の人のご遺骨と一緒にする埋葬方法のことを指します。
ご遺骨は色々な人の遺骨とひとまとめにされ混ざった状態になり、長い年月をかけて土に還るかたちで地面に埋葬されます。
どんな人に合祀・合葬は向いているのか?
合祀・合葬は、やむを得ない事情や継承者問題の対処として選ばれる場合がほとんどです。
入るお墓のない方の最後の拠り所となっています。
1.お墓の継承を望まない、永代供養のための合祀・合葬
近年、利用者が増えている永代供養墓は、合祀墓(ごうしぼ)、合葬墓(がっそうぼ)などとも呼ばれます。
価格の安い永代供養墓の埋葬方法は、合祀・合葬であることがほとんどです。
この場合、永代供養墓を共同利用するかたちで、血縁関係のない見ず知らずの利用者達の遺骨と一緒に埋葬されます。
様々な理由によって合祀・合葬を希望し、「自分のお墓を持たない」という選択肢をする方が増えています。
・お墓の後継ぎとなる家族がいない
・家族にお墓を継がせたくない
・お墓にかけるお金がない
など
⇒関連コラム「永代供養にかかる費用と相場」
2.家族事情による遺骨整理のための合祀・合葬
墓石を建てる一般的なお墓をお持ちの家庭において、子供・孫・ひ孫…と代々お墓を継承していくと当然ながら骨壺が増え、いずれは納骨するスペースが一杯になってしまいます。
そういった場合は、お墓の中で合祀して整理をします。
33回忌を終えたご先祖様のご遺骨をひとまとめにして、新しい骨壺を納められるスペースをつくります。

3.無縁墓のやむを得ない合祀・合葬
一般的なお墓において、お墓の継承者がいなくなってしまった場合、そのお墓は無縁墓(むえんぼ)と呼ばれます。
お墓は不動産として土地を分譲している訳ではなく、使用料の支払いによって使用権を得ているものです。
墓地(土地)はあくまで公園墓地・寺院・公営霊園など墓地管理者のものですので、墓地への年間管理料の支払いが滞納し、お墓参りや掃除に訪れる人もなく荒れ果てた無縁墓は、墓地管理者によって墓石の撤去、遺骨の整理をされる可能性があります。
墓地管理者といえども自由に墓石を撤去することはできませんが、官報への掲載とお墓の見やすい場所への立札による告知をしてから1年、お墓の所有者や故人の縁故者などから申し出がなかった場合、行政手続きを経て無縁墓として撤去・整理されることが認められます。 |
近年では、お墓の後継者がいなくなってしまう場合の保険として、または夫婦や二世帯だけのお墓として、合祀までを含んだプランのお墓も増えてきています。
また、無縁墓になってしまう前に先回りして自分の代で「墓じまい」を行い、墓石を撤去して遺骨を永代供養墓などに移して合祀する方も増えています。
⇒墓じまい」について知りたい方はこちら
合祀墓・合葬墓へのお参り方法
お墓のつくりにもよりますが大抵の場合、共用の参拝スペースなどに供花を持ち寄り、線香を上げることができます。
また、永代供養墓の管理者が定期的(年に一回、または春秋のお彼岸毎など)に合同供養を執り行うところもあります。
もし頻繁にお墓参りに足を運ぶことができなくても、お坊さんがちゃんと読経してくれるのであればありがたいですね。
合同供養の有無・回数については、契約前に確認しましょう。
例)都立小平霊園(東京都東村山市) 合葬埋蔵施設 参拝スペース
合祀・合葬の特徴とメリット
一般的なお墓と異なること
・家族単位ではなく個人単位で埋葬する
・お墓の管理や故人の供養を、墓地管理者に任せられる
・お墓の継承のことを心配しなくていい
最大のメリットは価格
・共有のお墓に埋葬されるので使用料が安い
・個別の墓石を建てる費用が不要
・お墓の維持費用がかからない
金銭面の負担が少ないことが合祀・合葬の一番のメリットです。
ただし個人単位で費用がかかりますので、家族の人数次第では一般的な墓石のお墓を購入できる位の費用感になってしまうこともあります。
費用の相場と内訳
価格の目安:10万円~30万円程度
※永代供養墓の立地やつくりによって価格は異なります。
※価格の目安は、1霊あたりの金額です。

例:青山梅窓院墓苑(東京都港区)
永代供養墓 最勝宝塔 (さいしょうほうとう)
総額:50万円~(納骨手数料を含む)
※お戒名の無い方に授与することもできます。(別途5万円~)
※ご希望の方は、墓誌彫刻、納骨壇利用も別途お申し込み可能です。
※生前にお申し込みいただけるプランの場合は、護寺費2万円(年間)が別途必要となります。
合祀・合葬する際の注意すべきポイント
やり直し不可!遺骨は取り出すことができない。
合祀・合葬した後にもし「やっぱりきちんとしたお墓を建てたい」と思っても、遺骨は既に他の人の骨と混ざってしまっているため、遺骨が返却されることはありません。
墓石のお墓や納骨堂など、骨壺のままの納骨であれば、後からライフスタイルに合わせてお墓の引越し(改葬)をすることもできますが、合祀・合葬は本当の意味での終の住処となります。
本人や家族の気持ちと、供養スタイルがマッチするか。
「生きた証を残したい」「しっかりと供養してあげたい」「他人の遺骨と一緒はちょっと…」などという気持ちのある方には合祀・合葬は不向きです。
合祀墓・合葬墓は他人と共同のお墓であるため、故人の存在を希薄に感じてしまい、お墓参りの足が遠のいてしまう人もいます。
お墓は、遺される家族や周りの人々にとって、亡くなった故人のことを偲んで逢いに行ける場所となります。
遺族の心の拠り所として故人との接点が感じられるお墓を望む場合は、家族ごとに埋葬をする一般的なお墓のほうがよいでしょう。
家族や親戚への相談・報告が大事。
最近は「お墓の継承者がいないから合祀がいい」という声をよく聞きますが、完全に天涯孤独な無縁仏(むえんぼとけ)になってしまう方はそう多くはありません。
お墓を継ぐのは配偶者や長男だけに限った話ではなく、4~6親等以内なら継承できるところが多くあります。(霊園や寺院ごとの決まりによります)
兄妹(2親等)、叔父や叔母・甥や姪(3親等)、いとこ(4親等)、いとこの子(5親等)などかなり広く認められていますので、家族や親族に相談や報告をしながら合祀・合葬について考えるとよいでしょう。
また「子供にお墓を継がせて面倒をかけたくない」という方も多くみられます。
しかし、墓の継承について親族みんなが互い遠慮し合っていると、そのうち子世代・孫世代の親族達が入るお墓がなくなり、ひとり一人がそれぞれお墓探しをしないといけない…なんて状況になってしまうこともあります。
やり直しがきかないだけに、合祀・合葬を巡って家族間でトラブルになるケースもみられます。
個人単位の埋葬方法ではありますが、自分一人で決めず、家族や親族の気持ちに耳を傾けてから将来を見据えるとよいでしょう。
※本ページで紹介している合祀・合葬の仕様や相場は、あくまで一般的な例です。移りゆく現代社会のニーズに合わせて、多種多様な供養プランがあります。
※掲載墓所が完売の際はご了承ください。