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終活アドバイザーが考える「終活とは」その2

終活アドバイザーが考える「終活とは」その2

「終活」を効率的にはじめるためには「エンディングノート」を書きましょう。そして見える化しましょう、と前回のコラムで説明しました。

エンディングノート」の項目をうめていけば、なにをどうすればいいのか?道筋が見えてきます。終活に関することだけでなく、「自分のこと」が統括されているので便利です。初めてパンを作る人が、1から材料や道具を揃えるのは大変です。どれが必要かどうか?材料も調べて買いに行く必要がありますが、「キット販売」なら安心。と捉えてみるとイメージしやすいのでは?

どこで「エンディングノート」を入手すればいいの?

手に入れるのは簡単、ご近所の本屋さんにも置いてあるでしょう。何かのついでに立ち寄ってみては?実にいろいろな種類があります。ビタミンカラーの表紙でポップなイメージのものもあります。おしゃれな書体を横文字で表現したクールなデザインも。長期間付き合うノートですから、自分好みで選ぶことをオススメします。行の幅や、書体や、紙の質、挿絵、写真やメモが挟めるポケットがついた、カバーがあるなど「いいな!」と思ったデザインのノートを相棒にしましょう。厚みの違いは「自分史」を多く書ける…メッセージが書けるなどの差です。項目はほとんど変わりがないので、「好きなノート」を選んでいただきたいです。ちなみに「終活」を専門的に扱う社団法人の団体でも販売されています。もちろんインターネットの通販サイトからも購入できますから、じっくり選びましょう。

自分のお金を使って「書く」ことの意味

自治体が配布したり、保険の会社がサービスの一部として資料に添付したり、インターネットで無料ダウンロードできたり、「お財布を痛めず」して「エンディングノート」を入手できます。しかし、これはあまりオススメできません。なぜなら無料だからと続かなかったり、広告ページが多かったり…。「自分の意志や軸」が反映されていません。自分の大切な情報を長年に渡って記入する「大切なノート」ですから対価を払うべきだと考えます。「エンディングノート」にお金を使えるかどうか?もご自身の「本気度」がはかれるでしょう。

目的はなに?記入する前に決める!

終活アドバイザーが考える「終活とは」その2

ものごとを始めるには、まず「目的」を設定します。目的は抽象的なことを指します。今年の目的はなに?と元旦に一応決めるように、「エンディングノート」を記入するのはなんのためか?! 目的をはっきりと決めるのが肝心です。この目的で一位を占めるのが、「家族のため」です。大切な家族のために、大切なことを「伝えること」を目的にする高齢者が大半を占めます。現役世代は「自分のため」に書きましょう。「1年間で500万円貯める」、「健康な生活を送る」、などの目的でもいいでしょう。「書くこと」でご自身のことを「整理」することによって「見える化」できます。

独身の友人の「手術で入院した時に、お金をすぐそこのコンビニでおろしに行くのも大変だった」という話を聞いて、こんな場合にも「大切な(信用できる)人に連絡しておく」と自身が安心です。「自分のため」に書いた結果…周りの人に「大切なことを伝える」という「終活」に繋がっていくでしょう。
どんなことも「目的」を決める!というのが最初になるように「エンディングノート」も例外ではありません。

学生時代の試験と同じ戦略で!やればいい

定期試験、模擬試験、受験、検定試験、資格試験…など私たちは、ありとあらゆるテストを乗り切ってきました。その時多くの先生や親はなんとアドバイスしてくれていたでしょうか?思い出してみてください。これは、誰もが一度は聞いたはず!

「できるところから(分かるとことから)埋めていく」です。

分からない、すぐには埋められない問題は後回し、できる項目から解いていったのではありませんか? 分らない問題に時間を費やしていては、タイムロスです。自信のある、余裕で解ける問題を見る時間さえなくなってしまいます。実は「エンディングノート」もこの方式でOKなのです。書けるところから書けばいいのです。

最初の問題から解く必要なし!書けないところは、とりあえず飛ばしてしまいましょう。
「エンディングノート」の書けなかったところは、

1.自分に無関係
2.まだ考えが定まっていない
3.調べる必要がある

と大きく3つに分けられます。自分に無関係な箇所は未記入のままでいいですし、考えや価値観がまとまってから記入すればいい。調べたり誰かに相談して、分かってから、記入すればいいのです。伝えておかなければ家族が困るだろう、と思われる箇所は優先順位を高めて記入しておきましょう。急に入院してご本人は「“あの口座”から、お金をおろしてほしい」と思っていても、伝えていなければ…家族でも分かりません。自分の意思はノートの記しておくとこんな場面でも安心です。

「まだ自分には関係ない」「先のこと」「縁起が悪い」「まだ元気」…など「エンディングノート」を書かない・後回しにする理由は人それぞれですが、同じような見えないハードルがあるのでは?と考えます。人は誰でも自分の知らないことは敬遠しがち。これがハードルとなって「後回し」にしてしまうのだと考えます。記憶が新しいうち、気力があるうち…早めのスタートがオススメなのです。

まずは書けるところ、氏名、住所、本籍地、常用する薬、アレルギーなど比較的書きやすい箇所から記入しはじめてみましょう。

終活アドバイザーが考える「終活とは」その2

このコラムでは、

1.「エンディングノート」を用意する
2.書く目的を明確にする
3.今書けないことは、飛ばす
4.高齢者だけが書くものではない
5.なるべく早くはじめる

について説明しました。

「エンディングノート」は、「死」や「終末期」に直結する内容ばかりではありません。既成概念を少しでも払拭して「ちょっと書いてみようかな」と思えるように、ご自身でハードルを上げないで欲しい。ご自身の気持ちがスッキリする、やりたいことが見える…など二次的な効果が実感できる可能性も大いに含んでいるのです。
© 2020 澤渡裕子